手首の活用法〜表現を豊かにするために〜①

普段の生活の中で手首の柔らかさを意識して動作をすることってありますか?肩こりや腰痛がひどい、肩に力が入りやすい、というのはよく聞きますが手首の動きに関して日常生活で話題に上ることは、スポーツ選手や全身に気を使う職業の方などを除けばなかなかないように思います。

日頃ピアノを始めたばかりの方からコンクールを受ける方まで、それぞれのレベルに合わせてレッスンをしていますが、例外なく全ての生徒さんたちに必ず指摘することは手首の使い方についてです。

 

ピアノを弾く時には手首の柔らかさがとても重要になってきます。手首の様々な動きを活用することは、表現したい音楽や音色の幅をとても広げてくれ、また腱鞘炎など手を痛めてしまうことを防ぐ効果もあります。

どんなレベルの曲を弾いていようが、手首は常に柔らかくいつ何時どんな動きにもどんな方向にもどんな体勢にも瞬時に対応できる状態で構えているのが理想です。

 

例えばスケール、ドレミファソラシド、と何オクターブも続けて弾く時、指のトレーニングとして ド・レ・ミ・ファ・ソ・・・・などのように一音一音はっきりと弾くのとは別に、ドレミファソラシドがひとまとまりに滑らかに聞こえるように弾くには指だけでどうにかしようとしてもなかなかレガートにはなりません。

そこで、手首を最初のドの音から最後のドの音にかけて、大きな一つの弧を描くように動かします。(下向きのアーチの方が動かしやすいと思います)すると同じ指の動きをしていても手首を使うだけでとても滑らかにドレミファソラシドという綺麗なメロディーに聞こえます。その時に、肘からではなく、手首から動かしてください。肘から動かす動作はピアノを弾く時にはありません。手首を動かしているつもりが肘から横に動かしてしまう方がものすごく多いです。

これは長年の動きの癖であったり、力を入れて弾く癖であったりで手首を動かしているつもりでも無意識に肘から動いてしまいます。自分の手首はもう固まってしまっていて、あるいは元々硬いから柔らかくなんて絶対無理だ・・・・と諦めてしまいそうになる方もいらっしゃいますが、普段手首が上下に動けるのであれば柔らかい動きはできます。今できないのは動かし方を知らないだけです。

 

鍵盤の上に手を置き体をリラックスさせてください。音は鳴らさずその状態で手首を回してみましょう。どうしても肘が動いてしまう人は反対の手で肘が動かないように固定し手首を回してください。この時点で多くの方は手首だけ回せます。それでも硬くてなかなか手首が回らない、という方は反対の手で手首を回してあげましょう。だんだんと柔らかく回り始めるかと思います。

これを弾きながら行うのはすぐには難しい方も多いかと思いますが、動かす感覚を掴み、それによる音の滑らかさの変化が増すごとにどんどん改善されていきます。動きだけに集中してしまうと迷走しがちですが、心地よい音が増えれば増えるほど体は素直に反応してくれるので、脱力もしやすくなっていきます。

次回は様々な手首の動かし方とその効果についてです。

 

 

 

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